娘4歳、ヒルシュスプルング病です。
生後3ヶ月のときに神経のない部分を切除し、
大腸を引き伸ばして肛門を縫い直す手術(根治術)をしていただきました。
ヒルシュスプルング病は、
神経のない腸管(無神経節腸管)の長さによって以下のような型に分類されます。
●直腸下部型(肛門から直腸下部まで)
●S状結腸型(直腸下部からS状結腸まで)
●左右結腸型(下行結腸から盲腸まで)
●全結腸型(回盲部から口側30cmの回腸まで)
●小腸型(回盲部から口側30cmの回腸を超える範囲)
※画像:「難病情報センター」より
全結腸型〜小腸型のように無神経節が長い症例は、
ヒルシュスプルング病全体のなかでも10%ほどと少ないようです。
ヒルシュスプルング病の発症が5000人に1人と言われているので、
毎年約100万人の新生児が生まれているとすると、
年間200人が新たに診断を受けていることになります。
全国の同級生でおよそ200人の同じ病気仲間がいるという計算です。
その中の約10%である約20人が、
無神経節の長いより重篤な症例といえるようです。
栄養や水分の摂取など生活に大きな支障をきたす状態が多いようで、
患者さんやご家族の不安やご苦労を思うと胸が痛みます。
無神経節がどの程度の長さなのか、
手術前に検査は当然するものの、はっきり正確に把握することはできません。
娘の場合は、
入院中の直腸粘膜生検の結果では、
肛門から比較的近い範囲で済むと思われるが、
無神経の部分を確実に切除するために、
無神経の範囲と思われるところ+アルファの範囲を切除する必要がある、
手術中に迅速病理診断をおこない
切除範囲をその場で判断する、と説明をうけました。
結果的に、直腸からS状結腸手前の30センチほどを切除とのことで、
直腸型(※直腸下部型とは言われていません)とお話いただいています。
手術直後に切除部分の実物を「見ますか?」と聞かれたので、
見せていただきました。
赤色〜赤黒い〜赤紫がまざったような色でした。
当然ですが、内臓という感じでした。
手術は、
腹腔鏡手術と経肛門手術の2つのアプローチで行うと説明がありました。
事前にネットで検索していた術式は、大きく2つ。
スウェンソン法とソアベ法です。
●スウェンソン法(Swenson)
神経節細胞がない腸管を切除して神経のある腸管を引き下ろし、肛門部分と吻合する手術法
●ソアベ法(Soave)
肛門側の神経節細胞がない腸管を少し残して切除。
神経のある腸管を引き下ろして残っている腸管の内側に挿入して縫合する手術法
しかし、先生から説明があったのは、
●結腸プルスルー術でした。
結腸を肛門から引き出して、
無神経の部分を切除し、
切除した箇所を肛門に縫い付けるという手法です。
正直なところスウェンソン法との違いが明確に理解できていません。
ただ先生ご自身が何度も執刀経験がおありとのことで、
夫とともに先生から十分な説明を受け、承諾書にサインしました。
腹腔鏡を担当する医師2名と、肛門側に主治医1名の体制と聞き、
この小さな赤ちゃんの周りを3人もの医師が取り囲んで手術するのかと
それなら安全だろうという気持ちと手術とは大事(おおごと)だなと
驚いたのを覚えています。
昔は開腹手術が主流だったそうですが、
腹腔鏡の技術が向上したことにより、
より患者にとって負担が少なく回復が早い腹腔鏡手術が多くなっている、
と説明がありました。
夫の開腹手術の跡、ストーマ(人口肛門)の跡は
かなり目立つ大きなものなので、
女の子のお腹、手術跡が少しでも目立たないのはいいな、とも感じました。
(夫もヒルシュスプルング病の既往があります)
手術前の説明では、
お腹に4ヵ所の腹腔鏡を差し込む穴を開ける予定だったのですが、
手術を始めたところ、術野が子宮で遮られる部分があり、
急遽、子宮を少しどかすためにもう1ヵ所、穴を開けました、とのこと。
結果的に、
おへそを囲むように半円形の腹腔鏡の穴の跡が5ヵ所残っています。
術後は、真っ赤で痛々しかったのですが、
4年経った今は、ほぼ目立たなく白っぽい線のようになった跡と
少しくぼんで小さなおへそのような見た目になったものと、
全体的にひどく目立つ跡ではない状態になっています。
手術後の絶食(絶ミルク)を経て、
少しずつ授乳やミルクを開始しました。
手術前後の絶食期間が長く、
ひもじくて親指を咥えることを覚えてしまっていたのですが、
最後のほうは中指と薬指の2本を同時に咥えて
チュパチュパしていました。
お腹ペコペコだったと思います。
娘、本当にがんばりました。
手術後の経過は順調で、術後2週間ほどで退院。
念願の自宅への帰宅です。